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お釈迦様の教え06

―蜘蛛の糸―

ある日の朝のことです。
お釈迦様は蓮池のまわりをぶらぶら歩いていた時に
池からはるか下の地獄の世界をふと覗き、
地獄の罪人のカンダタを見つけました。

カンダタは生前、
様々な悪事を行った為に地獄に落とされていました。
しかし、カンダタにも生前に善い行いをしたことがありました。

「いくら小さな蜘蛛といえども命あるものに違いない。
その命を奪い取るということはかわいそうだ」と思い、
小さな蜘蛛を助けたのです。

そこでお釈迦様は、
地獄の苦しみの世界の底からカンダタを救いあげようと、
一本の蜘蛛の糸を下ろしました。

カンダタは仏さまの世界から伸びて降りてくる蜘蛛の糸を見てとても喜び、

「これで地獄から脱出できるばかりか、
仏さまのところに行けるかもしれない」と考えました。
そこで蜘蛛の糸をつたって、
地獄の底から何万里も上にある仏さまの世界へと上り始めたのです。

ところが途中でふと下を見下ろすと、
数限りない地獄の底の罪人達が自分に続いて、
そのきわめて細いクモの糸を上って来ていました。

このままでは重さによってこの糸は切れて落ちてしまう。

カンタダは
「この蜘蛛の糸は俺のものだ。お前達は一体誰にことわってのぼってきた!
下りろ!下りろ!」と大声で叫びました。

次の瞬間、蜘蛛の糸が皮肉にもカンダタのぶら下がっている所から切れ、
カンダタは再び地獄の底へと堕ちていったのです。

お釈迦様は誰にでも救いの手をさしのべています。

しかし、カンダタのような自分だけが救われようとする偏った心では、
お釈迦様の救いの手をつかまることはできないのです。

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