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お釈迦様の教え08

―福の神と貧乏神― 《無分別智》

「もう、小さな子供じゃないんだからちゃんと自分で分別しなさい」なんて、皆さんも親に叱られたことありませんか。
しかしお釈迦さまは「人は分別するから欲に執着して苦しむのだ」と教えておられます。

大空には東西の区別などないのに、わたしたちは東西の区別をつけ、東だ西だと執着します。
大きい小さい・多い少ない・豊か貧しい・きれい汚い・善い悪い・例をあげればきりがないほど、自分のまわりのことすべてを出来る限りの分別しています。

こんなお話があります。ある家に、ひとりの美しい女が着飾って訪ねてきました。
その家の主人が「どなたでしょうか」と尋ねると、その女は「わたしは人に富を与える福の神です」と答えました。
主人は喜んで、その女を家に上げ手厚くもてなしました。すると、すぐその後から粗末な身なりをした醜い女が入って来ました。
主人が誰であるかと尋ねると、「わたしは貧乏神です」と答えました。
主人は驚いてその女を追い出そうとしました。
すると女は「先ほどの福の神はわたしの姉です。わたしたち姉妹は、いつも離れたことがないので、わたしを追い出せば姉もいなくなりますよ」と主人に告げ、去っていきました。
女が去ると、やはり美しい福の神の姿も消えうせていました。

生があれば死があり、幸いがあれば災いがある。善いことがあれば悪いことがある。
わたしたちはこのことを知らず、ただいたずらに災いをきらって幸いだけを求めて生きようとします。
道を求める人は、この2つをともに越えて、そのいずれにも執着しなくなることで本当の幸せを得ることができるのです。
このお釈迦さまの『無分別智』の境地までには成れなくとも、日頃の心掛けひとつで少しずつ分別の偏見から離れることが出来ることでしょう。
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